食品業界共通の課題解決に向けて業界標準ソリューションの創出を目指して
株式会社グルーヴノーツ
量子コンピュータ関連ビジネスを手掛ける株式会社グルーヴノーツ(本社:福岡県福岡市、代表取締役社長:最首英裕、以下 グルーヴノーツ)は、キユーピー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 社長執行役員:長南 収、以下 キユーピー)より、クラウドプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)」をご採用いただき、これまで様々な実証実験に取り組んでまいりました。そしてこのたび、同社の惣菜工場において量子コンピューティング技術を活用した製造ラインのシフト最適化プロジェクトを本格開始いたしましたのでお知らせします。
なお、本プロジェクトは、経済産業省が推進するロボットフレンドリーな環境を実現するための研究開発事業「令和2年度 革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」(以下 本事業)*1 に採択されています。本事業においてキユーピーとグルーヴノーツが協働し、今回のプロジェクトである「量子コンピュータによる高速シフト計算検討」、ならびに「AIによる需要予測と協調領域データレイク検討」に取り組んでまいります。
従業員の負荷軽減と生産能力の向上を両立させる新たな挑戦、テクノロジーを駆使した働き方の未来
キユーピーは、マヨネーズやレトルト食品などの「調理・調味料事業」、パッケージサラダや惣菜を提供する「サラダ・惣菜事業」、卵素材や加工品の「タマゴ事業」など、食品5事業+物流事業を展開する食品メーカーです。
惣菜市場は10年連続して拡大*2 を続け、キユーピーの「サラダ・惣菜事業」の売上は、調理・調味料事業、タマゴ事業に次ぐ構成比(2019年度:16.5%)とさらなる事業機会の拡大に取り組む一方、惣菜を作る工程においては、その見た目や重量など厳密な盛り付け基準が設けられていることなどから、最も多い人手を要し、ベルトコンベアを囲んで多くの従業員が24時間交代制で働いています。今後、ますます人手不足の深刻化が予測される中、人手を増やさずとも従業員の負荷軽減を図りながら生産性を最大化するため、ロボットの活用が急務とされています。ロボットを導入する上では、人とロボットの役割分担を踏まえ、業務オペレーションやシフト体制の再設計が不可欠です。加えて、短時間勤務など人の多様な働き方を可能にする働き方改革を推進していくにあたり、最新テクノロジーの活用や高度なシフト管理システムの導入が求められました。
人の多様な働き方、そして人とロボットが共存する働き方の実現に向け、量子コンピュータを活用したシフト最適化プロジェクトを始動
シフト計画を作成するには、本人の労働条件や休暇希望、製造ラインごとに求められる人数・スキル要件、勤務間隔、人件費、人と人の相性など、様々な条件を考慮する必要があります。こうした多くの条件を満たした上で、様々にある組み合わせパターンの中から最適な答えを解く問題は「組合せ最適化問題」といわれ、組合せ最適化問題を解決するテクノロジーが、量子コンピューティング技術の中で「イジングマシン」(または、量子アニーリング)といわれる技術です。
グルーヴノーツは先進のテクノロジー発想と高い技術力をもとに、イジングマシンを活用して業務上の様々な組合せ最適化問題を解くモデル(イジングモデル)やアプリケーションを独自に開発し、「MAGELLAN BLOCKS」として提供しています。「MAGELLAN BLOCKS」の活用により、シフト最適化や製造順序最適化、物流最適化など、企業が抱える組合せ最適化の実問題を解くことに成功してきました。そこでキユーピーは、グルーヴノーツを最適生産体制の実現に向けたテクノロジーパートナーに迎え、両者共同して惣菜工場における製造ラインのシフト最適化プロジェクトを開始いたします。
工場全体の最適化における標準モデルを創出し、業界全体の課題解決を目指す
これまでキユーピーとグルーヴノーツが行った実証実験においては、「MAGELLAN BLOCKS」のイジングモデルでシフトを作成したところ、例えば熟練のシフト作成者が30分かけて作成したシフト表と比べて、遜色なく実運用で使える結果をわずか1秒で示すなど、イジングマシン活用の効果が確認されています。これにより、従来は複雑すぎて考慮しきれなかった条件や、従業員が求める新しい働き方の要件、新型コロナウイルス感染症対策として密集を回避した配置基準などを加味して、“働く人にやさしい”快適かつ最適なシフト作成が可能になると期待されます。また、本事業として、人とロボットの共存を考慮したシフトおよび製造順序の最適化に向けた取り組み検討を進めます。
さらに、「MAGELLAN BLOCKS」のイジングモデルによる最適化と、AIによる需要予測を組み合わせて活用することで、日々の需要量に応じた製造計画の策定から、製造順序の最適化、シフト最適化、番重(食品用コンテナ)の積み付けの最適化、物流の最適化など、工場全体の最適生産体制の構築に向けた支援が可能になると考えます。
今後はさらに両者で、量子コンピューティング技術やAIを活用して、工場内の様々な課題に取り組み、さらには取り組んだ成果を食品業界モデルとしてソリューション展開していくことで、業界全体の課題解決に貢献してまいります。
人とロボットが共存して働くイメージ
製造ラインにおいて人とロボットが共に働いた場合のオペレーションをシミュレーションした結果、ロボットは高性能であるよりも、人間の動きと調和したときに時間あたりの生産量が最大化することがわかっています。
令和2年度 革新的ロボット研究開発等基盤構築事業(ロボットフレンドリーな環境構築支援事業)「AIによる需要予測と協調領域データレイク検討」について
需要に対する生産量の適正化に向けて、小売と食品メーカーが協調し、協調領域として共通するデータや需要予測に必要なデータの標準化を図るため、データ範囲の定義、 管理・運用方法について検討します。これにより、食品ロスや機会損失を削減し、さらなる業務効率化を図ることができると期待されます。
【注釈】
※1)経済産業省「令和2年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」について
「施設管理」、「小売」、「食品製造」等の人手不足が顕著な分野へロボットを導入していく上で、導入コストの低減につながるロボットを導入しやすくする環境(ロボットフレンドリーな環境)の整備が重要です。このたび、「食品製造」分野の研究開発を実施する事業者としてキユーピーが採択され、そのパートナーにグルーヴノーツが参画しています。
https://www.meti.go.jp/press/2020/09/20200928002/20200928002.html
※2)一般社団法人日本惣菜協会 「2020年版惣菜白書」 http://www.nsouzai-kyoukai.or.jp/news/2020pressrelease_hakusho/
株式会社グルーヴノーツについて
グルーヴノーツは、「豊かで人間らしい社会の実現に貢献する」ことをビジョンに掲げ、多様な価値観をもとに社会/人の未来の可能性や豊かさを広げるためのテクノロジー活用を支援しています。いま、社会が抱える課題は、個々の企業が抱える課題の集積値として反映されたものでもあります。だからこそ社会課題に向き合い、人間の真の豊かさを支えるテクノロジーと着想の力で複雑な問題構造を紐解き、本質的な課題解決に取り組んでいきます。
【お問い合わせ先】
株式会社グルーヴノーツ 広報
pr@groovenauts.jp
※会社名、製品名等は各社の商標または登録商標です。
※本リリースに掲載された内容は予告なく変更または撤回される場合があります。
STORIES FOR YOU